努力と結果
秋の風が冷たくなり始める頃、プロ野球界では毎年恒例のドラフト会議が行われます。未来のスター候補たちが指名を受け、夢と希望に満ちた瞬間がテレビやネットで報道されます。若い選手たちが夢を抱いて指名を受ける姿は、何度見ても心が熱くなります。未来への期待に満ちたその瞬間は、まさに人生の転機です。今年のドラフトは創価大学の立石正広選手が「大学No.1打者」として注目され、見事阪神タイガースが1位指名で交渉権を獲得しました。早くも来シーズンが楽しみです。
一方で、その裏では静かに「戦力外通告」が行われていることも忘れてはなりません。10月10日までの一次戦力外通告期間に全12球団101人の選手が戦力外通告されました。ドラフトは希望の象徴。戦力外は現実の厳しさ。このコントラストは、まさにビジネスの世界にも通じるものがあります。
企業においても、どれだけ努力してきたか、どれだけ経過を積み重ねてきたかよりも、「結果」「実績」が求められる場面が多々あります。もちろん、プロセスを大切にする文化も必要ですが、最終的には成果が評価の基準になることがほとんどです。
私たちの会社でも、新しい人材を迎える一方で、変化に対応できない体制や仕組みは見直しの対象になります。これは冷たい判断ではなく、組織として前に進むための自然な流れです。
ドラフトで指名された若者たちが、数年後に戦力外通告を受けることもある。それは、プロの世界が「結果」でしか評価されない厳しさを物語っています。私たちもまた、日々の仕事の中で「結果を出す」ことの意味を問い直す必要があるのかもしれません。
ただ、私はこうも思います。結果だけを追い求めるのではなく、結果に至るまでの「姿勢」や「考え方」も大切にしたい。努力が報われる組織でありたいし、挑戦する人を応援できる会社でありたい。だからこそ、社員の皆さんには「結果を出すための努力」を惜しまないでほしい。そして、その努力を周囲に見せてほしい。
ドラフトで指名された選手も、戦力外通告を受けた選手も、どちらも「プロ」としての覚悟を持って日々を過ごしています。私たちもまた、プロとしての意識を持ち、結果にこだわりながらも、人としての温かさや誠実さを忘れずにいたいと思います。 努力は尊い。しかし、努力だけでは評価されない現実もある。だからこそ、努力を「成果」に変える工夫と覚悟が、今の時代には求められているのだと思います。

