「1+1=?」

阪神タイガースの快進撃が止まりません。うれしい限りです。その主たる理由は、外国人助っ人の好調と新加入の佐藤輝・中野選手の活躍、先発投手陣の安定が挙げられますが、本当にそれだけでしょうか?今回は、今年のタイガースの控えメンバーに焦点を当ててみましょう。以下は主だった控え選手(野手)です。

陽川(右)・山本(右)・原口(右)・熊谷(右)・坂本(右)・糸井・(左)板山・(左)・植田(両)・江越(右)・小幡(左)

一見、パンチ力不足は否めません。例年なら、高山や中谷が登録されているでしょう。ファームで首位打者の小野寺もなかなか呼ばれません。往年のタイガースファンなら不満もあるかもしれませんね。しかし矢野監督は敢えて個々の能力に特化した控えメンバーを揃えたのでしょう。まずは判りやすく、控え選手を「打・走・守」の3つに分類してみました。

◆代打要員 糸井(左)・陽川(右)・原口(右)
◆代走要員 熊谷(右)・植田(両)・江越(右)
◆守備要員 坂本(右)・山本(右)・板山(左)・小幡(左)

代打主要員が3名と極端に少ないですよね。でもここに矢野監督の狙いが垣間見えます。

今年のタイガースは
① 先発野手メンバーはほぼ固定化されている
② 試合は9回打ち切り(例年は12回)
③ 先発要員が豊富でQS(クオリティースタート)率が高い
④ スターティングメンバーの半数は左打者

これらの考えから矢野監督は代打の切り札は右2枚・左1枚で事足りるとの判断したのでしょう。次に、タイガースは投手力が良いため、1点を取る戦略の一つとして、必要な場面で盗塁が出来る「足のスペシャリスト」を2~3名を選出しました。そして代走後は守備固め要員としてのユーティリティプレイヤーが必須となります。実際、熊谷・植田はキャッチャー以外の内外野すべてのポジションを守れる便利さがあります。山本・陽川・板山・小幡も複数のポジションで守ることが可能です。

以上の結果、この控えメンバーは矢野監督の戦略に基づいたベストメンバーなのです。考え方はアメリカンフットボールの選手起用にも似ていますね。そう考えると矢野監督はなかなかの知略家ではないでしょうか。とても参考になります。

個々の能力を把握して、そのポテンシャルを最大限に発揮できる環境と体制を確立することで、「1+1=2」以上の価値を見出すことが可能となる良い事例です。これこそ私たちが求めている生産性の向上ですね。我々はこの現状分析を疎かにしがちです。なぜなら、現状分析をすると今の自分を否定する事につながりかねないからです。今の自分と求めるべき理想の自分とのギャップを埋める努力をすることが自身の成長を促します。野球もビジネスも通ずるところは同じですね。

連日、タイガースのお陰で美味しいお酒が飲めています。矢野監督には戦略と並行して戦術面(采配面)をあと少し頑張って頂ければ目指すゴールは見えてくるでしょう。
あぁ、あかん阪神優勝してまう!