父の背中

私が福岡・北九州時代、会社の草野球チーム「アローズ」に所属していた時期がありました。
今回縁あって、その当時の仲間が再結集して大阪の地で試合を行うことに。
当時のメンバーは既に日本全国各地に散らばっているため、発起人である先輩のご苦労はいかほどかと拝察致します。

さて我々「アローズ」の対戦相手はバリバリの現役を含む「パナソニックインパルス」軍団です。
アメリカンフットボール選手は見た目もデカくて、運動神経も抜群な超スポーツマン集団です。我々「アローズ」の相手にとって不足はございません。好ゲームを期待しましょう。
試合当日は私の自慢の息子である“ヤクルト坊や”も同席です(ヤクルト坊やの命名については「ありがとう貯金」を参照して下さい)

とは言うものの、私自身は腰痛持ちのためもっぱら応援がメイン。ここぞの代打として活躍した浪花の春団治こと“川藤幸三”的な気持ちでベンチにてスタンバイをしておきましょう。

野球経験者が多い「アローズ」は序盤から優位な展開で「インパルス」を圧倒しつつ得点を積み重ねてきました。
試合も終盤に差し掛かり、いよいよ代打・山中の出番である。息子よ!父の雄姿をその眼にしっかりと焼き付けておくが良い。ベンチで応援している息子を背にバッターボックスへ向かう父。その息子に捧げるこの一打・・・。

残念ながらこの打席は良い当たりのセカンドゴロで凡退。その後廻ってきたもう一打席もドン詰まりのサードゴロ。活躍した姿を息子に見せることが出来ず意気消沈な父。ベンチに戻るも息子は奥の方でうつ向いたままである。

スマン、息子よ。父の不甲斐なさによっぽどショックだったのだろう。ゆっくりと息子に歩み寄る父。しかし、なんだか息子の様子がおかしいことに気づく父。
当の本人はベンチ奥でお絵描きに夢中で、「アローズ」の試合はそっちのけ状態。とどのつまり父の打席はまったく興味無し。おい、息子よ。せめて父の打席くらいは応援しなさい。

帰宅後、父の活躍について妻から問われた息子が放った一言は以下の通りである。
妻「父さんヒット打った?」 息子「知らん。」
妻「父さん活躍した?」 息子「知らん。」

父はその日、息子の裏切りと翌日の筋肉痛という二つの大きな代償を払ったのであった。息子よ、父はとても悲しいぞ。
ちなみに試合は6対0で「アローズ」が完勝。同じスポーツでもアメフトと野球は別物なのでした。